就職活動が就活なら、生きる糧を探すのは生活か?確かに生活かも。このページは新たに生活の糧を探して活動する私の日記だ。で、生活日記とはあまりに一般的だから、とりあえず稼ぐための活動ということで、タイトルを稼活とした。
その他にこれ迄にあちこちで若い学生に講義してきたので、その内容を講義ノートあるいはハンドアウトという形で残しておくこととした。
1. Energy & Environmentは、1999年から2003年にかけてタイ・タマサート大学SIITで3週間程の集中講義をしたときに使用したハンドアウトだ。
2. Mathematicaによる線形代数は、1995年から1997年にかけて中央大学総合政策学部で非常勤講師として講義したときの講義ノートである。
3. マップ・メソッドは、2010年から始まった武蔵野大学基礎セルフデベロップメント学で非常勤講師として地球学と銘打った講義のノートである。特にマップの活用について注力してある。さらに、マップの意義について述べ、概念の伝達というシステムをマップの確立という観点から逆照射できることを示す。
獲らぬ狸の皮算用(2009/10/20)
さて、定年までのカウントダウンが始まって後、僅か。知り合いを訪ねて、心構えやら稼ぎの手ほどきやらを聞いて回ることとしている。なかでも成る程とメモを取ったのは、人を雇うような会社を目指さない事(うまく行かない時が大変だから)、請負仕事をする事(アルバイトで自分を安く売るな)、人を頼れ(きちんとマージンを支払い、あるいはマージンを得よ)、等のアドバイスだ。確かに、アルバイトならなんて私の発言そのものがいい加減で、相手に誤解を与えていた。
もちろん、請負だからといって多額の儲けが保証されているわけではない。先ずは請負仕事で一万円以上の利益を出す事が目標だな。これが実現するまでは全て、獲らぬ狸の皮算用であることに注意すること->自分。
コミュニケーション能力(2009/11/6)
朝のNHKテレビだったか、大学三年生の就職活動の今時を取材した番組を放送していた。チラ見(こんな言葉が正しいかどうかは分らないが、ガン見という言葉が流布しているのを見聞きするにつけ、あってもよいかと)だったけれど、ひっかかったのが、大学で就職活動のための専門講座を設定しているという話と、就職活動のハウトゥーを教える家庭教師がいるという話だ。かなりの違和感を持った。
この二つの話は就職活動における局所的な最適解を求める活動を紹介するものなのだが、その局所的な最適(日本の都市部のホワイトカラーという空間的局所性とここ数年間は業績安定を予想される時間的局所性)を追求しているゆえに、会社員という活動そのものが存在する文脈(一生と言わないまでも、年金や退職金やその他フリンジベネフィットを得るためには十分な長い年月の間、特定企業に所属する必要があるという時間的文脈や、会社活動がグローバル化するに従って勤務場所が世界各地に変わる可能性があるという空間的な文脈)にかなりの程度矛盾しているように思えた。思った故に違和感を感じたわけだ。
例えて言えば、数年前までは学生の就職先としてJALの人気が高かった。つまり学生からみて最善の就職先であったので、JALの就職試験に合格するためにあらゆる手段を用いるという局所的な最適追求が、就職を目的とする学生にとっては最善の解であったわけだ。で、数年経つと、業績不振があらわとなって、未来の業績は確実なものではないという、企業という活動のもつ時間的性質や、人員整理によって配転あるいは解雇が起こるという企業に属する労働者に内在する空間的性質があらわになって、局所的最適解であったものが不都合な結果となったのだ。もちろん番組では、このあたりにも配慮があって、特定企業に対する最適就職活動の紹介の他に、コミュニケーション能力が大事である、というような話も織り交ぜたあった。だが、コミュニケーション能力等は人間活動の基本なので、本来、就職活動のために教えるような話ではないのだ。
ま、ここまでが今日の前振りで、我が身を振り返ればコミュニケーション能力についてはまだまだ不十分で、それを自覚してこのところ改善を試みている。例えば社会におけるファーストコンタクトにおける重要な要素は見た目である、という事実があるので、このあたりは着るものに気を遣うこと、実際にはAOKIの吊しスーツからの脱却、UNIQLOの活用など、金のかからないところから始めた。どういうことかと言えば、AOKIのスーツ・ジャケットはメタボのオヤジが主たるターゲットなので、メタボオヤジの外見が見苦しくならないようにデザインされている。一方、UNIQLOは裕福ではない若者が主たるターゲットなので、色使いを工夫することによって少しでも見栄えがよくなるように品揃えされている。で、この二つのブランドを比較しながら自分はどうあるべきかを考えるようにした、ということだ。近頃はこのステージを終了して、+J、GAP、ZARAなんぞに行くようになったので、進歩があったと自己判定している。先日は、ZARAで黒のパーカーとカーディガンを購入したのだ。
再雇用(2010/3/17)
ご存知の通り、2004年6月に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」が成立して、すべての企業に平成18年4月1日から段階的に65歳までの雇用を確保する義務が課せられることになった。まあ年金制度の設計のいい加減さというか、誰もネガティブな未来を見たくないという理由で、能天気な将来見通しをベースにした制度だから仕方がないというのか、今さらどうにもならない。私より若い世代はもっとどうにもならない。
私より若い世代については別項で述べる事になると思うが、基本的にご愁傷様と云うよりほかないであろう。申し訳ないとも思っている。さて、私としてはこれ以外にもこの法律には問題があると思う。それが、上の法律の「雇用を確保する義務が課せられる」の部分だ。これはつまるところ、60才の定年を迎えた者は仕事の能力に係らず国が年金を払う代わりに金を出してね、ということに他ならない。従って会社としてはリスクを最小にするために、この法律に従って定年を迎えたものを最低限の給与で雇うこととなる。私の会社もこの通りで、定年を間近に控えた私は上司から呼ばれて、この再雇用システムを受け入れるかどうかについて聞かれたのだ。勿論その場合に私のポジションは会社の一番下となるのだ。
さて、最下層の位置とはいえ、日本の会社であるから上司と元同僚が掌を返したように、最下層の人間をこき使うことはない。扱いに困惑しながらも今までとなるべく変化のないようにと、つき合ってくれるだろう。だが、会社システムというのは基本的に友愛をベースに活動しているものではないから、社内の規程に再雇用者は一番下のランクであることを明示している通り、再雇用者は決して管理や方針の決定に与るものではないのだ。仕事がどうであろうと給与をくれるんだから良いじゃないか、高年齢雇用継続基本給付金も付くんだし、という声も聞こえてくる。
で、私自身どういう決断をしたかと言えば、この再雇用によってサラリーを確保する道を断って、自分で勝手にこれからの生活をまかなうこととした。一つには自分の健康状態と係累から想定した生存期間、経済状態、その他を考慮した結果だ。会社の最下層で生きるのは嫌だという見栄も大きな要素だ。で、決断した後で気付いたのだが、決断の影響が最も大きかったのが、自分自身の潜在意識に対してであろうと思われる。口では決断を述べ、頭では納得したとしても、楽な道を断ってしまったという、内心の不安と動揺は簡単には治まらなかったということだ。私の場合、自分自身の決断に自分が納得するのにゆうに一ヶ月以上の期間は必要だったのではないか。
決断したので、失業保険をもらう、いや今まで給与から差し引かれたものを取り返すつもりだったのだが、先輩の話を聞くと今、予定している短期の請負仕事をこなしつつ、失業保険金を受け取るのがかなりキビシいようだ。実際に保険事務所に言って話をしなければ確定しないようなのだが。
ハローワーク(2010/7/10)
さて、失業保険を受け取るにあたって、どんな手続きが必要になるかは、迂闊にしてよく知らなかったと言わざるを得ない。いや、得ないなんてそんな大層なことじゃないんだが。受け取りには煩雑な手続きが必要だとわかっただけだ。早い話、政府が金を出す場合に官僚はできる限り自分に責任が及ばないように着実にステップを踏む必要がある。と官僚は考えた結果だ。つまり、金をもらうには、毎月、認定日と称されるに日にハローワークに出頭して、就職活動を行ったエビデンスを明らかにする必要があるのだ。念が入っていることにこのエビデンスが二つ必要となる。その他にアルバイトをしているかどうか、していたならばその時間数アルバイト代がどれほどか、が問われる。
なぜ時間数が問われるかと言えば、基本的に失業期間中にテンポラリーな仕事をすると、その分の失業給付が停止されるからだ。停止というのはある設定された失業給付対象期間の間、アルバイト日については失業給付金を支給しないということだ。ポイントはこの失業給付対象期間より失業給付金支給日全体の長さが短いことで、ある程度のテンポラリーな仕事が失業期間中にあることが想定されていることを言っている。また、テンポラリーな仕事つまりアルバイトに関わった時間が問われるのは、ごく短時間のアルバイトについては、アルバイト代が僅かであると想定されるので、可哀想だから失業給付金をあげるね、ということである。ま、見方を変えれば、きめ細かくかつなるべく公平になるように失業給付が行なわれうシステムとなっていて、こんなに細かな作業の担当者はホントにお疲れさまと思う。
で、そのエビデンスの一つがもちろん求職活動で、ハローワークの検索端末で探した会社にいくつかアプライしてみた。結論から言えば残念な結果だ。残念な結果だったので、くさってしまう。という程のことはないので、暫く、つまり失業給付金の出る間は素直にハローワークで職を探し、アプライし、エビデンスとしてこれを提出して、給付金を有り難く頂くことにしたいと思っている。
p.s. (2010/9/17) その後、どうなったかと言うと、ハローワークの検索で紹介してもらって3社程アプライし、3社とも残念な結果となった後、こっちの気持ちも残念になったので新たにアプライするのは中断して、大人しく失業保険をもらい続けている。一つは昔の仲間で会社作ろうかという話が持ち上がったこともあるのだ。
LLCを立ち上げようかと(2010/9/17)
昔の仲間で会社を作ろうかなんて話が持ち上がって、じゃ調べようということでLLPとLLCのどちらかが良かろう、やっぱりLLCの方か。おー、じゃ夏の終わり位には。などという話が弾んだが、それ以上には進展をみせないままにもう秋口となってしまった。
なぜかと言えば、仲間の一人がまだ再雇用されている立場で、再雇用のままではその会社規定にも依るけれど、おそらくLLCを立ち上げメンバーとなることが難しいのでは、つまりその会社は退職しなければいけないのでは、という点がクリアされていないからだ。前にも書いたけれど長年帰属していた会社との関係を断つというのは、心理的な戸惑いが大きい。それは自分に照らしても明らかで、相応の覚悟、というよりも潜在的な自分自身に納得させるプロセスが必要だ。その仲間の一人が再雇用を中途で辞めるかどうかで逡巡しているのだ。やはり前の会社に居てこその自分の社会的ポジションがあるんだ、なんて言い出したのでしばらくはこのLLC設立は棚上げとなってしまった。もちろん、目論んでいる仕事は再雇用ポジションでは実行できないので、その一人は矛盾した状態にある。だが、本人が自分自身を納得させなければいけない話なので、無理強いすることもできず、LLCの話はしばらくはペンディングとして、見守るしかない。
これからの仕事については、自分のパフォーマンスの時間的減衰、早い話老化なんだが、の具合を考えなきゃいけないと思っている。この時、減衰の具合は指数関数的だろうと思われる。減衰しない、いやリニアに減衰する、という意見もあるだろうが、一般的物理常識からみて指数関数的と考えるのが妥当だろう。つまり、残り生存期間の比較的早い時期にパフォーマンスは急速に減衰するだろうということだ。何かするならば躊躇せずに開始した方がよいだろう、というのを自分としてはモットーとしている。とは言っても、残り生存期間が不明なところが、この議論を曖昧なものにしているのは確かなので、まあそれぞれが好きなようにやればよいのだ。
投資のお話なんですが(2011/12/2)
その後、稼活がどうなったかというと、進展がないと言わざるを得ない。なんてご大層なものでもなくて、所詮定年退職者、そうウマい話があるわけもなく、今ある非常勤の仕事を細々とつなぐしかないだろう、というのが結論だ。そうは言ってもこれから全然駄目ということではないので何か良いことがある、かもしれないし。一方、残りの人生を考えると、働くのも大事だが、それ以上に遊ぶことも大事なので、このところはバイクツーリングにかまけて、稼活どころではないのだった。
だが通帳残高を見ると確実に数字は減っていて、予想した通りの減り方であるとは言っても、あまり気持ちの良いものではない。年寄りが四六時中、カネを気にするのも理解できる。いい加減に惚けてきても、最後まで本人の関心がなくならないのは金(かね)と決まっていて、介護してくれる人に「ワシの財布を盗ったろう」と言うのが惚け老人の定番、という話はよく聞く。
という訳で、残高ページとカードの請求ページを見比べている時に、決まって掛かってくるのが、投資のご案内の電話で、いかがでしょうか、今、手数料ゼロ円キャンペーンをやっていまして、是非ともご検討いただきたい、とか何とか。はあ、そうなんですか、でも手持ちがなくって、いえいえ、ほんの少しの、そうですね、ご主人さまのお小遣い程度で始められるんです。ご紹介するのはFXなんですが、FXご存知ですか。いーえ、よく知らないんですが。この商品はですね、実はここだけの話…、というように、なかなか切ることができない。
確かに電話の主のいうことも一理あって、こんなふうに、体も頭も動かなくなってくると、残りは投資案件くらいで、こっちとしてもそろそろ真面目に考えなきゃいけない。ぐずぐずしていると、投資資金も底をついてくるから。という訳で、実はもう証券会社に口座もあって種銭を置いてある。これをどう運用したら良いのかは、試行錯誤中だ。二三年前に、株の自動売買システムを構築していて、一年程、実際の金は動かさないものの、市場のデータを十分毎に収集して統計的解析を加え、リアルタイムの売買をシミュレートするということをやっていた。結果、手数料を上回る程度の成績は残せたので、このシステムを再開しようかと思っていたのだが、その前に株の売買そのものを実行してみた。
どういう銘柄をターゲットにすべきかと言えば、値が乱高下する銘柄に決まっていて、タイミングよく売買することでサヤを稼げる筈である。当然のことであるが、現在の株式売買というのは、その会社の将来に肩入れした投資行為などではない。株式市場というのは市場でいかに相手を出し抜くかが全て、の場であるといって良い。そのタイムスパンが比較的長い場合に、当該会社の成長や効率などが問題になるのだ。そうなると今のターゲットは勿論オリンパスで、その株の売買を通じて学んだことも多い。
学んだことの一つは、これも良く言われていることのようだが、儲けるのではなく損をしない、というのを第一義の目標とすべきであるということだ。儲けようと思う気持ちは、できるだけ確実に儲けを確保しようとする態度を生むので、決断が遅くなってしまうのだ。その結果、しばしば損失を切ることを躊躇するようになるのである。一方、これを損をしないという方針に置き換えると、大きく儲けるのではなく手数料を上回る益が生じると思われるタイミングで買い、あらかじめ決めておいた期限でこれを売る、という方針を守ることができる。損を生ずる場合があるのを防ぐことはできないが、できるだけ早く損切りすることで、結果として手持ち資金を効率よく回転させることができるのだ。つまり、長い期間、株式として保有していると現金化するチャンスを失って、結局のところ、ただでさえ少ない資金を回転させることができなくなってしまうのだ。
学んだことのもう一つは、タイミングが全てである、ということである。オリンパスの例を取れば、損切りをしなかったせいで手持ちの資金が不十分な状態で、ニュースを見ながらぐずぐずしていたら、あっと言う間にストップ安がストップ高になって、肝心かなめのタイミングを逃してしまった。いくら悔しがってみても全くあとの祭りで、外資系の投資会社がこれで莫大な利益を上げたというニュースを聞いて、自らの思い切りの悪さをひたすら反省しているところだ。とは言うものの、自分で言い乍ら、損切りもできていなくって、現在、自分自身の性根を改造中だ。このあたりが一番勉強になったところだろうか。
新宿ゴールデン街にバーを開店 その1(2012/1/27)
インターネット空間に突き出してあるアンテナに引っかかっきたのが「無銘喫茶」だ。新宿ゴールデン街の一角に一日店長をやらせてくれるという趣味の商売をしている会社があって、これはやらずには置けないだろうということだ。
何故やらずに置かぬと言うかと云えば、名にしおうゴールデン街、近くの花園神社、花園神社と云えば名前を聞いただけの紅テント、紅テントと云えば観たこともない唐十郎のアングラ演劇で、アングラ演劇と云えば寺山修司で、寺山修司と云えば宇野亜喜良で、どれもこれも遥か辺境の地に住んでいた私からみれば、月ほどにも遠い場所の出来事であって、光も届いてこなければ音も聞こえない匂いもしない、全く五感に感じることのできない何かであった。ただ宇野亜喜良と云えば、この間ポスターハリスギャラリーで原画を眺めて、辺境生まれの自身の運命というものを改めて振り返ってみた。
という訳で、一度はゴールデン街の空気の匂いを嗅いでみたかった。無銘喫茶のオーナー会社にメールして、先日事前説明を受けてきた。想像通り、IT関連の社長が通っていたゴールデン街の店を元のオーナーから買い受けて、趣味の店としてぽつりぽつりとやっていたが、その友達の友達が自分にも一晩やらせてくれというのが、友達の友達の友達あたりになると誰やら分からなくなるので、人物を確認してから店の空いてる日に一日店長の権利を提供しよう、というのが始まりのようだ。
もとより趣味の店、こちらも趣味の一日店長ということで簡単な企画を作ってみた。タイトルはKorio's Wine Bar、原価率が限りなく100%に近いワインにパンとチーズをつまみに、いつ来るかも知れない客に提供しようという、一晩限りの店だ。ハコの提供側からコンセプトを聞かれたので、「60's、70'sを懐かしみつつ、語るバー、ワンコインでワインとおつまみを楽しめる店」というのを出して、2月8日18~26時開店することと相成った。そのうちにWebに掲示されるらしい。
新宿ゴールデン街にバーを開店 その2(2012/2/9)
ということで、旅行と同じで始まる前も楽しい。あれこれと開店の準備をして、もちろん自分の趣味を客に押し付ける算段で、ワインの種類を決めフードを準備した。ワインはカーヴドリラックスのお勧めセットに、シラーの6本セットを追加した。我ながらかなりの偏りだと思う。
フードはフランスパンとこれに合わせるドライトマト、ゴルゴンゾーラ、ドライのイチジク、ついでにドライデーツも発注してしまった。ドライトマトはオリーブオイル漬けにするので奮発して高めのオリーブオイルも発注。このあたりで、赤字確定だな。パンは駒場のル・ルソールのミニバゲットを注文することにした。
ドライトマトのオリーブオイル漬けは、ドライトマトを水で戻す、熱湯で戻す、そのままオリーブオイルへという三種類があるらしい。水で戻す方法と、熱湯で戻す方法の両方を試してみた。結論から云えば、水で戻す方法がよいと思われる。湯では香りが飛んでしまう気がしたからだ。ただ、水で戻す場合には水に酢を加えた方がよいという。同意したので、ワインビネガーも追加購入してしまった。赤字が積み重なるな。
途中、何日も前に発注したのに受注連絡がないので電話したら引っ越しで休みだったなんていう業者もあったが、まあ予定通りに準備は進んだといってよいだろう。あとはおしぼりだの、店のBGMの配線の具合だの、当日行かなければ確認できないものもあったので、リストを用意した。
開店当日は注文しておいたパンをバイクで取りに行ったり、予め購入していたプラスチックコンテナをこれも購入したカートにしっかり縛り付けられるかを確認したりしたが、さすがにワインボトルを12本も持ち込むとなるとかなり重い。ちょっと重すぎる。これも客は鯨飲するかも知れないという我ながらの偏りであった。
さて、店に着いて家主側の担当者からスイッチの位置だの閉店時の清掃だのゴミ出しだのの細かなレクチャーを受けて開店と相成った。ミネラルウォーターとソーダ、氷も必要で近くのコンビニに買い出しに往復し、カトラリーを確認し、ありフォークが全然ないね、ナイフもないし、スプーンも中途半端のものしかないね。これはもう仕方がない。店内はこれ以上奇麗にしようもないので、持ち込んだ宇野亜喜良展のポスターぐらいは貼りましょう。順調に準備は完了して、後は客を待つだけだね。
バーの止まり木に止まるのは慣れっこであるが、カウンターの反対側に居るというのは新しい体験で、とは言っても今回は知り合いの客ばかりだから、少し感じが違うかなという程度ではあるが。しかし店主であって客ではないというのは、ある意味決定的な違いだ。店の雰囲気は客が創るのだが、それを自分好みに導くという感覚と云えばいいのだろうか。知り合いが連れてきた面識のない客が増えたとき、何か新しい雰囲気ができる、そういう期待が持てるのが店主の楽しみかも知れないと思う。
で、収支だが、カートやコンテナなどの資材は費用に含まないとしたり、ワインは家でも飲むから売り上げた分だけ数えるという甘い計算をしても、3万円を少し切る程度の赤字となった。次回があるかどうかは不明だが、収支から予想すれば、1.5万円くらいの赤字に収められるだろう。独りで金を遣うので確かにこれは、バーの店主の楽しみ、という道楽かも知れない。
新宿ゴールデン街にバーを開店 2回目(2012/3/28)
気ままな道楽だから、別に一度だけでもよいのだが、一度だけだと気合いの入っていない奴だと後ろ指さされるかも知れないので、何でも二度くらいはやってみたほうがよいだろう、というわけで、新宿ゴールデン街に2回目の開店ということにした。前回は1ダースもワインを持ち込んで行き帰りの荷物の重さに音をあげたので、ワインは6本にした。フードもドライトマトとチーズ、デーツだけにしたが、デーツは余分だったかも知れない。
曜日は前回と同じで水曜日とした。開店日を決めておいてからあちこちにメールを打ってみたが、前回ほどの反応はないな。確かに嵌まる人以外は、わざわざ綺麗ともおしゃれとも云えない飲屋街に足を運ぶことはないかも知れない。来るかも知れないお客の飲み物を作るために、アイスとミネラルウォーターと炭酸を近くのコンビニで購入し、グラスを洗い直して並べ、BGMをかけ、カトラリーをチェックしたが、ボウズの予想は払いきれない。
新宿ゴールデン街にバーを開店 3回目(2012/11/13)
バーは2回も開けて、その度に趣味であることを確認させられているのだが、若しかしたら大入り満員になるかも知れないなどと妄想が湧いてきたので、もう一度開くことにした。来てもらえそうな知り合いにメールを打ってみたが、一度来たことのある知り合いや二度までも来てくれた友人の反応もいま一つで、もはやこれまでかという厳しい予想がたった。ま、それも仕方がないので前の通り、酒もつまみも¥500均一として酒とメニューを考えてみた。
ワインは自分の好きなシラーばかりではさすがに客の好みに合わない場合もあるだろうと、南フランスの¥1,600前後のものを赤白取り混ぜて6本発注しておいた。
厳しかろうとは言っても、仮に、本当に仮にだが(笑)、思いもよらない賑やかなバータイムになった時に、つまみが無くなってしまうという事態は避けたいから、5〜10人くらいのお客が来ても大丈夫なようにつまみを考えてみた。つまみは3種類として、ドライ・フルーツを主にしたドライ系、チーズを主としたねっとり系、ハムを主としたがっつり系で行くことにした。うちメインとなるのがチーズ系なので、8人分位とした。8人分くらいというのは曖昧な話だが、原価提供にしても赤字にはならないようと仕入れたからだ。後から考えるとそれでも買い過ぎなのであるが、売れなかったら自分で食べればいいやという甘い見積もりがみえみえだ。で、チーズはブリが360gで¥1,338、タレッジョが400gで¥1,980、丸めて¥4,000にして原価提供にすると8人分であるな。チーズについては客の好みもそれぞれであろうから、ねっとり系ではあるがマイルド系にした。
チーズばかりというわけにも行かないと思われるのでドライ系は、枝付きレーズンと干しイチジクとミックス・ナッツで850g¥2,540だが、これは最初っから自分で食べるつもりだな。で、ガッツリ系はあれこれ考えて、ネットでパテ・ド・カンパーニュの缶詰があるのを見つけた。1缶¥294で、こいつは買ってから初めて食べてみたがバジルと一緒にするとなかなかイケルことがわかった。
ということで、自信満々に開店したのだったが、結果はまたも完敗であった。馴染みにしているカフェのメンバーが一人だけ仕事帰りに寄ってくれたので、ボウズだけは辛くも免れたのだったが。ここで、さらに追い打ちをかけたのが、誰も来ないアルゼンチン・タンゴのかかるうすら寒い店内でぼんやりしていたら目の前を走り過ぎた有害動物で、これはもうハコ自体も駄目だろうと。結局三回開店して三戦全敗。いくら趣味とは云え、客あってのバーなので、これはもう勝つ見込みがない以上続けることは諦めた。今回も赤字は3万円だったな。いや名目上の赤字で実質はショバ代だけだと強弁することも可能だが、強弁であることは間違いない。